2017年5月14日(日)の早朝に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、時間にしておよそ30分、距離にして800km飛んで日本海に落ちたと政府が発表しました。
スポンサーリンク
政府関係者によると、今回発射されたミサイルの軌道は「ロフテッド軌道」と呼ばれ、通常より高い高度で打ち上げ、意図的に飛距離を出さないことを狙った可能性があるとも見られています。
●ロフテッド軌道の特徴は?
今回北朝鮮が弾道ミサイルを打った軌道としてあげられている「ロフテッド軌道」ですが、この軌道で打ち上げられるミサイルは、高高度に到達してから落下するように着弾するという特徴があります。
出典 http://livedoor.blogimg.jp/
さらには、飛行距離は通常ほど伸びない代わりに、着弾間際の速度が速いという特徴もあります。
着弾間際が速いということで、そのミサイルは迎撃されにくいということになります。
低く投げたボールは落ちる時の速度より、かなり高く投げ上げたボールが落下する時の速度はかなり速くなります。
●東京までの距離は?現実的に危機
今回の高高度のロフテッド軌道で撃ち上げられた北朝鮮の弾道ミサイルは、距離にして800kmに達しています。
スポンサーリンク
日本の排他的経済水域(EEZ)に入っておらず、日本に着弾する恐れの無いことから「J-アラート」は鳴らさなかったと政府は伝えていますが、結構危機的な状況にも思えてなりません。
北朝鮮と東京までの距離はおよそ1200kmなので、今回の800kmはかなり現実的な数値で、技術力であると言えます。
日本に向けてミサイルを撃っていないだけで、実際に撃った場合には、東京には今回達していない距離であっても、日本の他の都市を狙うには十分であることも証明されたことにもなります。
例えば北朝鮮から、かつて世界で初めて原子爆弾が落とされた広島への距離はおよそ800kmです。
中国地方はだいたいの距離が射程に入っています。
すなわち、北朝鮮がその気になって日本側の中国地方側に撃ってきた場合、弾道ミサイルは着弾していたことになります。
同じく福岡もほぼ同じ距離の800kmであるため、着弾可能の域に入っています。
スポンサーリンク
広島に続き核兵器を使用された長崎県も、その距離にしておよそ850km。
大阪・京都・神戸でおよそ920~950km。名古屋はおよそ1000km。
まだ遠いとされる北海道から東北も900km~1200kmしか離れていません。
排他的経済水域(EEZ)外に落下した。日本海に落下したから大丈夫という考えは、今回のロフテッド軌道でのミサイル発射によって考え直さなければならないところにきているのかもしれません。
●ロフテッド軌道ミサイルの迎撃は可能?難しい?
今回の北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、高度が2000kmを超え、過去最大の高度になります。
出典 http://www.asahi.com/
大気圏は300km~600kmの範囲であるため、今回のミサイルの高度2000kmということは大気圏を大きく超える高度に。
スポンサーリンク
大気圏へ到達可能となった北朝鮮のミサイル技術も笑って見てはいられない状況にもなっています。
さらに、このロフテッド軌道は、高高度に達するため迎撃が難しいものにもなっています。
ロフテッド軌道の利点は、迎撃ミサイルが届かない距離にまで飛翔するということにあります。
北朝鮮からロフテッド軌道で弾道ミサイルが発射されて、日本の迎撃ミサイルでは迎撃できない高度へ到達してしまった場合、再び迎撃できる距離までそのミサイルを待たなければなりません。
しかし、その弾頭ミサイルは大きく放物線を描き、かなりの速度となって目的地へ向かっていきます。
この速度の速い状態での迎撃は、低高度と比べて明らかに難しいものに。
そして、同じように何発ものミサイルがロフテッド軌道で撃ち込まれた場合、迎撃ミサイルで何発か迎撃できたとしてもすべてを打ち落とすことはさらに難しいものとなってきます。
ロフテッド軌道でのミサイルは、今回800kmの飛翔距離のおいて30分の時間を要してはいますが、日本の迎撃態勢の強化は必須で、北朝鮮からのミサイルへの危機感もより一層強めていく必要があるかもしれません。
【合わせて読みたい記事】